耐震等級とは?

不動産コラム

耐震等級とは?

日本は地震が多い国なので、建売住宅を購入する際には耐震等級をチェックすることをおすすめします。

この記事では、耐震等級とは何かという概要と建売住宅を選ぶ際の目安を解説します。

さらに、免震・制震との違い、等級が高い建売住宅を購入するメリット・デメリット、チェックする際の注意点も紹介。

購入する建売住宅を探している方は、ぜひこの記事を参考に安心して住める物件を選んでください。

建売住宅における耐震等級とは

そもそも耐震等級とは、2001年に施行された品確法の中で決められている、建物の地震に対する耐久性の高さを示す指標です。

住民の命はもちろん住宅自体も守るために決められました。

この指標は、住宅性能評価書に記載されています。

住宅性能評価書とは、国土交通大臣の認可を受けた第三者評価機関が、住宅の性能を評価した結果が記載されている書面です。

それでは建売住宅における耐震等級とは何かというと、長期優良住宅に認定される条件の1つです。

長期優良住宅制度とは

長期優良住宅制度とは、2009年に開始された、国が長く住める良質な家を認定する制度です。

長期優良住宅の認定を受けるには、全部で7項目の技術基準をクリアする必要があります。

以下に7項目の技術基準をまとめました。

長期優良住宅の認定を受けるための7項目

  • 耐震性:等級2以上または免震建築物
  • 省エネルギー:省エネルギー性能が確保されている
  • 住戸面積:一戸建ては75m²以上、一つのフロアの床面積が40m²以上
  • 劣化対策:構造躯体が数世代にわたり使用できる
  • 維持管理:内装や設備のメンテナンスに配慮されている
  • 居住環境:地域の景観と調和しているデザイン
  • 維持保全計画:将来を見据えた点検・補修が策定されている

【関連記事】 長期優良住宅とは?認定基準やメリット・デメリット

長期優良住宅の認定をうけた建売住宅を購入すると、いくつかのメリットが得られます。

詳しいメリットについては後ほど説明します。

建売住宅を選ぶ際の耐震等級の目安

耐震等級は1~3の3段階に分けられ、数が大きくなるほど耐久性が高くなります。

建売住宅を選ぶときには、2~3の物件を選ぶようにしましょう。

各等級の基準は以下の通りです。

【関連記事】 耐震等級の基礎知識と認定を受けるメリットをチェック

耐震等級1の基準

最もランクが低い耐震等級1の基準は、震度6~7の地震でも1回は耐えられる程度です。

建築基準法で定められた、最低限の性能を満たしているといえます。

震度6~7の地震を1回耐えられるとはいえ、すぐに倒壊・崩壊はしないだけで、そのまま問題なく住み続けることはできません。

地震が収まった後に、大規模な修繕を実施するか、新しい住居に住み替える必要があります。

一般的な建物は、ほとんど1級の基準で建設されています。

耐震等級2の基準

耐震等級2の基準は、1級の1.25倍の地震に耐えられる程度です。

震度6~7の地震が起きても倒壊・崩壊しないだけでなく、一部分だけ補修すればそのまま済み続けられる可能性もあります。

学校や病院など、災害時の避難場所や健康を守るための場所は、2級以上の基準を満たすことを求められます。

また、長期優良住宅に認定されるためにも、2級以上に分類される必要があります。

耐震等級3の基準

最もランクが高い耐等級3の基準は、1級の1.5倍の地震に耐えられる程度です。

耐震等級3の建物は、震度6~7の地震で倒壊・崩壊しないのはもちろん、一部分を軽く修繕するだけで住み続けられます。

防災拠点となる警察署・消防署・官庁などは、3級以上の基準を満たすことを求められます。

耐震・免震・制震の違い

耐震性について調べると、使われ方が似ている「免震」「制震」という言葉を見かけます。

耐震・免震・制震はそれぞれどんな意味を持っているのでしょうか。

耐震とは、地震に対する建物の強度を指します。

免震とは、地震が起こった時に建物が受けるダメージを軽減する仕組みです。

地面の揺れを受け流して、建物に直接振動が伝わらないようにします。

制震とは、建築時に建物に制震部材を組み込むことです。

地震の振動を吸収する制震部材を使って建築し、建物の揺れを軽減します。

耐震等級が高い建売住宅を選ぶメリット・デメリット

ここでは、耐震等級が高い建売住宅を購入すると得られるメリット・デメリットを紹介します。

メリット1 地震保険料が割引される

建売住宅を選ぶ際、耐震等級が高い物件を選ぶと地震保険料の割引率が上がるメリットがあります。

割引率は、1級の場合10%、2級の場合30%、3級の場合50%です。

なぜ3級の場合半分も割引してくれるかというと、これまで起こった大震災での被害の小ささが考慮されているからです。

一例として、2016年4月に起きた熊本地震の影響を調べるために実施された熊本県益城町中心部における悉皆調査を紹介します。

調査の結果、耐震等級3の住宅16棟のうち14棟は被害なし、2棟は半壊・一部損壊でしたが修繕によって住み続けられる状態でした。

耐震等級3は、実際にも耐久性のかなり高さが証明されているので、地震保険料が低く設定されているのです。

メリット2 低金利でローンが組める

建売住宅を購入する際、一括で支払うよりもローンを組んで支払う人が多いでしょう。

ローンを組む場合、耐震等級が高い建売住宅を選ぶと低金利でローンを組めるメリットがあります。

ここでは一例として、全期間固定金利住宅ローン「フラット35」を紹介します。

フラット35Sを利用する際、2級以上ならば5年間、3級なら10年間、金利を年間0.25%引き下げてもらうことが可能です。

ただし、耐震性以外の条件もあるので、詳細は公式ページから確認してください。

メリット3 長期優良住宅に認定されると減税される

建売住宅を購入する際、耐震等級が高く長期優良住宅に認定されている物件を選ぶと減税されるメリットがあります。

具体的には、住宅ローンの税金と固定資産税が減額されます。

固定資産税の減額に関しては、なんと50%も減税されるのです。

メリット4 長期優良住宅に認定されると売却しやすい

建売住宅を購入する際、耐震等級が高く長期優良住宅に認定されている物件を選ぶと売却しやすくなるメリットもあります。

なぜなら、耐震性が高く安心なだけではなく、ここまで紹介してきたような複数のメリットがあるからです。

デメリット1 コストが高くなる

建売住宅を選ぶ際、耐震等級が高い物件を選ぶほど、購入費用が高額になるデメリットもあります。

なぜなら、耐震性を上げるために、耐震金物を設置したり耐力壁を増やしたりする必要があるからです。

さらに、耐震等級の評価を受けるためにも、約10万~20万円ほどの費用が発生します。

デメリット2 間取り決めの自由度が低くなる

建売住宅を選ぶ際、より耐震等級が高い物件にしようとするほど、間取りが制限されてしまいます。

耐震性を上げるために、壁の枚数を増やしたり、柱や梁を太くしたりする必要があるからです。

間取りの自由さを取って耐震性を下げるか、間取りは限定されても耐震性を上げるか、どちらかを選択することになります。

建売住宅の耐震等級をチェックする際の注意点

ここでは、建売住宅を選の耐震等級を確認するときの注意点を紹介します。

注意点1 耐震等級がわからない建売住宅もある

建売住宅を選ぶときに耐震等級を検討材料にしようとしても、等級がわからないこともあるので注意しましょう。

不動産会社やハウスメーカーも耐震等級を把握していないケースがあります。

なぜなら、評価書の取得は義務付けられておらず、任意で取得するものだからです。

特に、住宅性能表示制度の本格運用始まった2000年より前に建てられた建売住宅は、耐震等級が分かっていないものが多くなっています。

等級を知りたい場合は、約10~20万円の費用をかけて診断を受けましょう。

注意点2 建設住宅性能評価書の耐震等級を参考にする

建売住宅の耐震等級が記載されている住宅性能評価書は2種類あります。

1つ目は「設計住宅性能評価書」といい、設計図面上の評価をまとめた書類です。

2つ目は「建設住宅性能評価書」という、施工中に複数回の現場検査を実施して評価をまとめた書類です。

購入する建売住宅を選ぶ際、耐震等級を検討材料にするのであれば「建設住宅性能評価書」に記載された等級を確認するように注意しましょう。

なぜなら、「設計住宅性能評価書」の評価はあくまで設計図面上のものなので、実際に完成した建築物とは乖離が出てくる可能性があるからです。

「建設住宅性能評価書」を確認すれば正確な等級がわかるので、安心して物件を選べます。

建売住宅を購入するなら耐震等級が2~3の物件がおすすめ

いかがでしたでしょうか。

建売住宅を購入する際には耐震等級2~3の物件がおすすめです。

地震が起きても倒壊・崩壊しにくく、長期優良住宅の認定も受けられる可能性があります。

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